Knowledge基礎知識
越境ECとは?必要となる契約書や注意点を解説
インターネットを通じて海外の消費者へ商品を販売する越境ECは、実店舗を持たずに海外市場へ参入できる手段として広がっています。
もっとも、取引の相手が国外にいるため、国内の通信販売と同じ体制では対応しきれません。
ここでは越境ECの意味と販売形態を整理したうえで、必要となる契約書や注意点を解説します。
越境ECの意味と3つの販売形態
越境ECとは、事業者が国境を越えて商品やサービスをオンラインで販売する取引を指します。
販売の形態は大きく3つで、自社で運営するサイトからの直販、海外のオンラインモールへの出店、現地の販売業者や運営代行事業者を介した販売です。
事前に用意しておく規約と契約書
越境ECで用意する書面は、消費者に示すものと事業者間で取り交わすものに分かれます。
消費者に示す利用規約と販売条件
購入者との関係では、注文の成立時期、送料と関税の負担、返品と返金の取扱い、準拠法と裁判管轄を利用規約や販売条件で明示しておきます。
個人情報についても、利用目的や取扱方法を明らかにし、外国の事業者へ個人データを提供する場合は、日本の個人情報保護法上の越境移転規制や販売先国のデータ保護法を確認する必要があります。
販売先の国では現地の言語での表示が法的義務とされる場合があり、翻訳を利便性の問題として扱うのは危険です。
取引先や委託先と結ぶ契約
事業者間では、モールの出店契約、決済代行契約、国際輸送や倉庫の業務委託契約、現地の販売業者との販売代理店契約が中心となります。
運営代行を使う場合は、商品ページや広告表現の法規制への適合をどちらが最終確認するのかを契約で切り分けます。
見落としやすい法的リスク
契約書を整えても、当事者の合意だけでは動かせない領域が残ります。
準拠法と裁判管轄の合意には限界がある
法の適用に関する通則法11条1項により、一定の例外はあるものの、消費者が常居所地の法にある強行規定の適用を求めれば、日本法を準拠法とする合意をしていてもその規定が重ねて適用されます。
裁判管轄についても、日本法上、消費者契約には国際裁判管轄や管轄合意に特則があり、利用規約で日本の裁判所を管轄と定めても常にその合意が有効になるとはかぎりません。
想定する販売先を絞り、その国の消費者保護法を前提に規約を作るほうが実効性は高いといえます。
販売先国の規制と商標を事前に確認する
化粧品や食品のように、輸入の可否や成分、安全基準が国ごとに定められた商品は、通関で止められる前に現地の規制を調べておきます。
表示や広告の規制も国により異なり、日本で許される表現が現地では不当表示と評価されかねません。
日本で取得した商標権が当然に海外へ及ぶわけではないため、主要な販売先国で商標を登録しておけば、模造品や第三者による先取り出願にも対応しやすくなります。
まとめ
越境ECは、販売形態によって整えるべき規約や契約書が変わり、準拠法や管轄の合意にも制約が及びます。
関税の負担や輸入者を誰とするかも含め、販売先国の法規制を踏まえて取引条件を整えることが重要です。
越境ECの規約整備や契約書のレビューについては、クロスボーダー案件の実務を重ねてきた岡かおりFORTUNA法律事務所へご相談ください。