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海外M&Aにおける法務デューデリジェンスの重要性を解説
海外進出を検討した場合、現地法人を買取って進める方法があります。
この時に、重要となるのが法務面でのデューデリジェンスです。
今回は、海外M&Aにおける法務デューデリジェンスについて考えていきたいと思います。
海外企業をM&Aするときにデューデリジェンスが必要な理由は?
海外M&Aにおいて法務デューデリジェンスは、取引の成否や買収後の企業価値維持・向上に直結する極めて重要な手続きです。
日本企業による海外企業買収では、対象会社の不正会計や許認可、コンプライアンス違反など、想定外のリスクが顕在化し、多額の損害を被る事例が複数報告されています。
そのため、法務DDを通じてリスクを最小化し、買収後の対応策を検討することが大切になります。
法務デューデリジェンスの主な目的
海外企業を買収を考えたときにデューデリジェンスを行う目的として以下が考えられます。
・取引遂行の適正性を検証する
・取引の実行に障害となりうる問題点を発見する
・企業価値に悪影響を及ぼしうる問題点を発見する
改善または留意すべき事項の指摘 これらの目的に基づき、法務DDでは対象会社の契約関係、許認可、訴訟・紛争、コンプライアンス、環境問題など多岐にわたる項目を調査します。
特に海外M&Aでは、現地法制や商慣習、カントリーリスク、贈収賄防止法違反など、国内とは異なるリスクが存在するため、現地専門家の活用も重要です。
法務デューデリジェンスを行うときに重要となる点は?
法務デューデリジェンスを行うにあたって重要となる理由には次のようなものがあります
法務デューデリジェンスの実施範囲と優先順位付け
対象会社や事業の所在国が複数の法域にまたがる場合、全ての法域で詳細な法務デューデリジェンスを実施することは現実的ではありません。
そのため、各法域の子会社や事業活動の重要性、想定されるリスクの影響度合いに応じて、調査範囲や深度を決定する必要があります。
重要な法域については現地法律事務所と連携し、詳細な調査を行い、重要度の低い法域では簡易な調査にとどめるなど、効率的なリソース配分が求められることがあります。
コンプライアンスデューデリジェンスを行う
近年、国際カルテルや贈収賄関連法違反などのコンプライアンス問題が、M&Aのメリットを一瞬で吹き飛ばすほどの重大なリスクとなっています。
これらの違反は巨額のペナルティや刑事事件に発展する可能性があり、グループ全体の価値毀損やレピュテーションへの悪影響をもたらします。
法務DDでは、こうしたコンプライアンスリスクの有無を徹底的に調査し、早期に発見・対応策を検討することが大切です。
まとめ
今回は海外企業のM&Aを検討した場合に法務デューデリジェンスを行う重要性などについて考えていきました。
海外企業の買収は、自社の調査では重要な情報を見落としてしまう可能性があります。
そのため、国際法務に精通した弁護士に相談することを検討してください。